
副業の経費は「仕事に使ったものなら何でも」ではなく、「売上に直接対応する費用や、その年の業務について生じた費用」が範囲です。国税庁の説明(No.2210)にもとづいて、認められる範囲・家事按分の考え方・記録と保存のルールを、雑所得の副業を前提に整理しました。
この記事の目次 6項目
経費になるもの・ならないもの
| 区分 | 例 | ポイント |
|---|---|---|
| 直接要した費用 | 仕入代金、外注費、材料費、販売手数料(ココナラ・メルカリ等の手数料) | 売上原価や収入を得るために直接要した費用。取引との関係を記録する |
| 業務上の費用 | 通信費、ソフト利用料、書籍、消耗品、交通費、会計ソフト代 | 業務に使った分。私用と混ざるものは按分(次項) |
| 家事関連費 | 自宅の家賃・電気代・スマホ代の一部 | 「業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる」部分だけ |
| 経費にならないもの | 所得税・住民税、罰金、私生活だけに使った支出 | 国税庁No.2210。家族への支払いは所得区分や取引の実態により確認が必要 |
家事按分:割合に根拠を持たせる
自宅で副業をする人の家賃や電気代は、業務に使った割合を面積や時間などの合理的な基準で区分して、その分だけ経費にできます。国税庁は「取引の記録などに基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合」に限ると説明しています。「なんとなく3割」ではなく、「業務専用の部屋6畳÷全体30畳=20%」など、実際の使用状況に合う計算を残してください。部屋を私用と兼用している場合は面積だけでなく使用時間も考慮し、電気代や通信費も仕事と私用の利用実態に合わせて区分します。例の割合がそのまま認められるわけではありません。
雑所得でも記録と保存の義務がある
- 前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は、領収書・請求書など現金や預金の出入りに関する書類を5年間保存する義務があります(所得税法232条)
- 前々年の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超えると、確定申告書に収支内訳書の添付が必要です
- 300万円以下でも、経費を主張するなら記録は必須です。税務署から尋ねられたときに示せなければ、その経費は認められません
- 事業所得で青色申告をする場合は、複式簿記の帳簿を7年保存します(雑所得と事業所得の分かれ目)
記録の残し方:手間を最小にする
副業専用の口座・クレジットカードを1つ作り、支払いをそこに寄せると、取引を集計しやすくなります。ただし明細だけでは用途が分からないため、領収書・請求書と日付・相手・業務内容を対応させて残します(副業収入の管理術)。年間の取引が数十件を超える人や、家事按分・減価償却が出てくる人は、会計ソフトに明細を自動取込させたほうが確実です。
記帳と申告書作成を一体でやるなら(クラウド会計ソフト)
やよいの青色申告 オンライン(セルフ・ベーシックは初年度無料・PCで申告)/freee会計(質問に答える形式・スマホから電子申告可)/マネーフォワード クラウド確定申告(利用するプランの料金・電子申告対応を公式で確認)
※ソフト名のリンクは広告(アフィリエイトリンク)です。3社の料金・無料条件の比較は会計ソフト比較へ。
よくある誤解
- 「経費にすれば税金が減るから、とにかく計上する」は誤りです。必要経費は収入から差し引いて所得を計算するものです。支払額そのものが税金から戻るわけではありません。
- 副業が赤字になっても、雑所得なら給与所得と相殺(損益通算)できません。節税のために不要な支出を増やすと、手元資金は減ります。
- PCやスマホなど10万円以上のものは、原則としてその年に全額経費にはできず、減価償却の対象です(副業にPCは必要か)。
- 給与収入2,000万円以下で、1か所からの給与が源泉徴収・年末調整の対象となる会社員は、給与・退職所得以外の所得が年20万円以下なら原則として所得税の確定申告は不要です。ただし医療費控除などで申告する場合は副業所得も含めます。給与の副業は別の判定となり、ここで説明する経費を給与収入から自由に差し引くことはできません。申告条件と住民税申告の要否を確認してください。
あわせて読む
- 副業の確定申告のやり方 … 6ステップの手順書
- 雑所得と事業所得の分かれ目 … 活動の実態・帳簿・収入規模から判断する
- 副業収入の管理術 … 口座分けと電子帳簿保存法
確認元
- 国税庁 タックスアンサー No.2210「やさしい必要経費の知識」/No.2080/No.1500
- 所得税法37条・45条・56条・232条(e-Gov法令検索)
この記事に書いた制度の内容は 2026年9月3日 に国税庁・総務省・各自治体の公表資料で確認しました。令和8年分(2026年分)の申告日程・様式は国税庁の正式発表(例年1月)で最終確認してください。個別の税務判断は税理士または税務署にご相談ください。
![]()
![]()
![]()
執筆・確認:みんなの副業 編集部(株式会社NO CAP)/最終確認日:2026年9月3日/確認方法:国税庁タックスアンサー(No.2210・No.2080・No.1500)、所得税法37・45・232条の公開情報を編集部が確認
2026年9月14日訂正:必要経費の範囲、家事按分の例、雑所得の保存義務の対象、20万円ルールの条件を補足しました。国税庁:必要経費の知識・雑所得の記録・保存を確認。個別の支出の取扱いは資料をそろえて税務署・税理士へご相談ください。




