副業と複業の違いは?法律上の扱いと、実務で本当に差が出るところ

「副業」と「複業」は、どちらも本業以外の仕事を指しますが、置き方の重心が違います。ただし法律上はどちらも同じ扱いで、手続きに差はありません。言葉の整理と、実務でどこが同じかを分けて見ます。

言葉の使い分け

副業 複業
重心 本業があり、その外側に補助的な仕事を持つ 複数の仕事を並列に持ち、どれも本業と考える
主な目的 収入の補完、スキルの拡張 キャリアの複線化、経験の幅
時間配分 本業が中心 分散していることが多い
法律上の扱い 同じ 同じ

厚生労働省のガイドラインも「副業・兼業」という一語でまとめて扱っており、複業だけを別に定義した公的なルールはありません。呼び方で手続きが変わることはないので、実務では次の3点で分けて考えるのが確実です。

実務で意味があるのは、呼び方より「契約の形」

雇用(アルバイト等) 業務委託・請負
労働時間の通算 される されない
住民税の徴収方法 選べない 普通徴収を選べる
最低賃金・労災 適用される 原則適用されない
受けられる保護 労働基準法など フリーランス法(2024年11月施行)

副業と呼ぼうが複業と呼ぼうが、この表のどちらに当てはまるかで手続きが決まります。

複数の仕事を並列に持つときに出てくること

  • 社会保険:2か所で加入要件を満たすと、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を10日以内に出します。標準報酬月額は合算した額で決まり、保険料は各社で按分されます
  • 雇用保険:主たる賃金を受けている1か所での加入が原則です。例外は65歳以上のマルチジョブホルダー制度だけです
  • 労災:2020年9月から、給付が全就業先の賃金を合算した額で計算されます。職場間の移動中の事故は通勤災害として扱われます
  • 確定申告:給与を2か所以上から受けている場合、20万円ルールの適用条件が変わります。1か所から給与を受けている場合とは判定の仕方が違うので注意してください

給与を2か所から受けている場合の20万円ルール

よく知られている20万円ルールは「1か所から給与を受け、その全部が源泉徴収・年末調整の対象」という条件が前提です。2か所以上から給与を受けている場合は、従たる給与の収入金額と、給与・退職以外の所得金額の合計が20万円以下かどうかで判定します(所得税法121条1項2号)。掛け持ちで働くなら、この違いを押さえておいてください。

次に読むなら

この記事で参照した資料

  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)
  • 所得税法121条(e-Gov法令検索)
  • 日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
  • 厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度について」/「複数事業労働者への労災保険給付」

この記事に書いた制度の内容は 2026年8月22日 に、国税庁・厚生労働省・総務省など発表元の資料で確認しました。制度は改正されることがあるため、手続きの前に必ず最新の内容をご確認ください。

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