
同じ5万円を稼ぐのでも、残業で得るか副業で得るかで、税と社会保険の扱いが変わります。手取りに効いてくる仕組みの違いを整理します。
残業代は「給与」、副業収入は所得区分で分かれる
| 残業代 | 副業(アルバイト) | 副業(業務委託) | |
|---|---|---|---|
| 所得の種類 | 給与所得 | 給与所得 | 事業所得または雑所得 |
| 経費 | 給与所得控除で自動計算 | 同左 | 実際にかかった額を差し引ける |
| 社会保険料の算定 | 本業の標準報酬月額に反映されうる | 副業先で要件を満たせば別途加入 | 算定の対象にならない |
| 住民税の徴収 | 本業から天引き | 本業と合算して天引き | 普通徴収を選べる |
| 確定申告 | 原則不要(年末調整) | 所得20万円超なら必要 | 所得20万円超なら必要 |
社会保険料の扱いが、いちばん大きな違いです
会社員の健康保険料・厚生年金保険料は標準報酬月額をもとに計算されます。標準報酬月額は原則として毎年4〜6月の報酬で決まり、大きく変動すれば途中でも改定されます。残業が増えれば報酬が増え、保険料の算定にも反映されます。
一方、業務委託で得た副業収入は、会社員としての標準報酬月額には入りません。社会保険料の計算に影響しないという点で、残業代とは性質が違います。ただし副業がアルバイトなど雇用の形で、その勤務先で加入要件を満たすなら、そちらでも保険料が発生します。
経費を引けるかどうかも効きます
給与は、実際にいくら使ったかにかかわらず給与所得控除という決まった額を差し引きます。業務委託の場合は、実際にかかった費用を必要経費として差し引けます。自宅で作業する場合の家賃・通信費・電気代は家事按分して、仕事に使った割合だけを経費にできます。
按分の割合は、床面積や使用時間など説明できる基準で区分できれば認められます。所得税基本通達45-2のただし書は、業務に使う部分が50%以下であっても、その部分を明らかに区分できる場合は必要経費に算入して差し支えないとしています。
赤字の扱いは所得区分で違います
損益通算(他の所得と相殺)できるのは不動産・事業・山林・譲渡の4つの所得だけです(所得税法69条)。雑所得の赤字は給与所得と相殺できません。事業所得と認められれば給与所得と通算でき、青色申告なら純損失を翌年以後3年内に繰り越せます。事業所得か雑所得かは、2022年10月の通達改正以降、帳簿書類を保存しているかが判定の目安になっています。
時間あたりで比べるときの注意
残業代は割増賃金なので、法定労働時間を超える部分は通常の時給の1.25倍以上、月60時間を超える部分は1.5倍以上になります。これに対して副業の単価は案件次第です。
参考として、パーソル総合研究所の2025年10月の調査では、副業の時給は平均3,617円・中央値2,083円でした。平均と中央値が離れているのは、一部の高単価な案件が平均を押し上げているためです。実際に多くの人が得ている水準は中央値のほうに近いと読むのが妥当です。
また、副業には準備や学習の時間が含まれます。最初の数か月を含めて時間で割ると、残業の単価に届かないことは珍しくありません。単価だけで比べるなら残業が有利な場面は多く、収入源を分けること自体に価値を置くなら副業、という整理になります。
副業としてのメリット・デメリット
| メリット | デメリット・注意したい点 |
|---|---|
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この記事で参照した資料
- 国税庁 タックスアンサー No.1900/No.1500/No.2250/No.2210
- 所得税法69条/所得税法施行令96条/所得税基本通達45-2・35-2
- 日本年金機構「標準報酬月額の決定と改定」
- パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2025年10月28日発表)
この記事に書いた制度と統計の内容は 2026年8月22日 に、国税庁・厚生労働省・総務省など発表元の資料で確認しました。制度は改正されることがあるため、手続きの前に必ず最新の内容をご確認ください。





