働き方に関して様々な形でクローズアップされるようになっている時代ですが、そもそもそのような形で「働き方」が問われるようになってしまったのも、分かりやすく言えばそれまでの働き方がおかしかったからこそ。
いわゆる「ブラック企業」がようやく多くの人の話題となるようになったのも、裏を返せばそれまでおかしな働き方がまかり通ってきたからこそです。
おかしな職場だと思いつつ、収入が少ないから副業を頑張っていたという人もいれば、他の仕事の当てもないのでブラックなんじゃないかと思うような劣悪な環境の仕事にも泣く泣く従事していた…という人も多いかもしれませんが、そのような人にぜひ一度見てもらいたいサイトがあります。
それは「ブラック企業マップ」です。
ブラック企業マップとは?
ブラック企業マップとはその名前が示す通り、全国のブラック企業を地図上に表示してくれているサイトです。
ここでポイントとなるのが、決して感情論や口コミによってブラック企業として認定してサイトに掲載するのではなく、労基署から労働基準法等違反で書類送検された企業を掲載している点です。
つまり、「法律を守っていな企業」であることが明確なのです。
昨今、決して法令違反をしている訳ではなくとも、少し大変だと「あそこはブラックだ」とのレッテルを貼られてしまうことも珍しくありませんが、こちらのサイトに掲載されている企業は法律違反をしている、いわば「行政から指導を受けた企業」であるため、周囲から「ブラック」だと言われても反論できない企業が掲載されています。
ブラック企業マップ公式サイト:https://blackcorpmap.com/
なぜこのようなサイトができたのか
ブラック企業マップができた背景にあるのは、いくらブラック企業が問題になったとしても、結局のところその存在が明るみにならないのでいわば「被害者」が亡くならないことが問題でした。
例えばブラック企業を辞めたとしても、辞めた人間が情報発信しなければ、ブラック企業の実態が明るみに出ることはありません。
そしてまた、新しい人間が入ってブラック企業の環境の「犠牲」となるのです。
このような事態を打破するためにサイトが登場しました。
サイトとして登場し、さらには地図上に表示されるだけのシンプルな作りなので、誰もが直感的に「どこにブラック企業があるのか」を把握することが可能です。
特に会員登録する必要もなければ、有料コンテンツでもありませんので思い立ったその時に利用することができます。
それこそ、転職・就職活動をと思ってからサイトを開き、自分が入社をと考えている企業が掲載されていないのかを確認するだけでも有意義です。
行政サイドにできることにも限界がある
ブラック企業マップができあがった背景にはもう一つ理由があります。
悪質な企業には行政から「指導」が入るのですが、そもそも確信犯的にブラックな環境の会社としては、指導されたくらいでは何とも思わないのです。
そのため、軽く指導されたくらいでは環境がほとんど変わりません。
それもそのはず、ブラック企業マップができる前であれば、行政からどのような指導を受けたのかは一般人はなかなか耳に入りませんでした。
興味がある場合、自らで行政に問い合わせるなどしなければ、指導された事実があったのかさえも分からないような状況でした。
つまり、ブラック企業側としては行政から指導されたところで「その程度」くらいにしか感じていないのです。
いわば「反省する必要がない」のです。
これではなかなか状況は改善しません。
そこでブラック企業サイトが生まれることで、誰もが簡単に「どこがブラック企業なのか」を把握できるようになり、そのような企業への就職・転職を控えることで次第にブラック企業にダメージを与えることができます。
ブラック企業がなくならない理由
なぜブラック企業がなくならないのか。
その理由は単純で「ブラックな環境でなければ生き残れないから」です。
残業代を出したら人件費が大変なことになるとか、法律を守ったらやっていけないといった企業は本来であれば会社としての責任感を全うしていない大変悪質なものです。
しかし、長らく我が国では人口が多かったことから、労働者が選ばれる側、つまりは「買い手市場」が形成されていました。
分かりやすく言えば、雇う側が選べる側で、「働くのが嫌ならやめていいよ。代わりはいくらでもいるから」という状況でした。
しかし、少子高齢による・労働者人口減少のおかげで労働者が仕事を選べる時代がやってきました。
すると、ブラック企業はブラックであることを隠して人を雇わなくてはなりませんので、求人の募集と実際の労働環境がかけ離れてしまう悪質な企業も増加。
このような「被害」を減らすことこそが、「ブラック企業マップ」ができた背景にあります。
ブラック企業で働かないために
本業であれ、あるいは副業であれブラック企業で働くことは自分自身の大きな負担になるものでしかありません。
だからこそ、ブラック企業マップに目を通すことはもちろんですが、せめて働くことになる企業の口コミ等はチェックしておくべきです。
求人情報だけではどうしても「真実」が明記されているとは限りません。
特に人がいない時代だからこそ、企業としても求人には良いことを明記しなければなりません。
仕事を探している人間は何を見るのかといえばまずは賃金等、求人の情報です。
そのため、悪く言ってしまえば「嘘の情報」でも良いのでとにかく「他より自分の職場の方が良い」とアピールしなければならないのです。
だからこそ、働くのであれば企業からの一方的な情報である求人情報だけではなく、実際に働いた人間の口コミ等を確認することで、果たして求人が事実なのかや、ブラック企業を回避することができるのかが決まってくると言っても過言ではありません。
まとめ
働き方について様々な形で変わろうとしている一方で、時代の変化についていけないブラック企業は、変わろうとせず、いつまでも「法律を守ったら自分たちがやっていけない」を免罪符にブラックな環境を変えようとしません。
それだけに、働く側の見る目が問われる時代がやってきているということなのかもしれません。