フリーランスで稼げない人の共通点|独立前にわかる5つの判断基準

ランサーズ「フリーランス実態調査 2024年」によると、2024年にフリーランスとして報酬を得た人のうち、年間報酬が99万円以下の人は約7割います。副業で少しだけ受けている人も含む数字ですが、本業で働く人の比率が高い調査でも年収400万円に届かない人は半数前後いて、稼げない状態は少数の失敗例ではありません。差がつくのは、仕事の取り方、報酬の形、単価の交渉、手取りの計算、前職の実績の使い方の5点で、いずれも会社員のうちに副業で確かめられます。このうち受注経路と報酬の形をまだ副業で確かめていないなら、独立は急がずに検証を続けるほうが安全です。

この記事の目次 6項目

稼げないフリーランスは例外ではない

ランサーズの「フリーランス実態調査 2024年」(調査期間2025年1月16〜20日、全国20〜69歳で2024年にフリーランスとして報酬を得た2,929名が回答)では、広義のフリーランス人口を1,303万人と推計しています。この中で年間報酬が99万円以下の人は約7割を占め、最も多いのは10万円未満の層でした。収入に満足していると答えた人も32.0%しかいません。

ただし、この数字をそのまま独立後の姿と読むのは早計です。同じ調査では、会社員が本業の外で受ける副業系・複業系のワーカーに低収入が多く、自由業系・自営業系は比較的収入が高い傾向が出ています。99万円以下の約7割には、副業として少しだけ仕事を受けている会社員も含まれます。

本業でフリーランスをしている人に近い数字としては、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書2026」(調査期間2025年11月)があります。年収400万円以上は49.5%、200〜400万円未満は27.7%でした。株式会社LiKGが2026年2月に発表したフリーランス200名の調査でも、年収400万円以下が52%です。本業で働く人の比率が高い調査に限っても、おおむね半数は年収400万円に届いていないと読めます。

調査によって数字が大きく違う理由

ランサーズの調査は、1年のうちに一度でもフリーランスとして報酬を得た人を広く数えているため、副業で少しだけ受けた人も含まれます。一方、フリーランス白書2026では回答者の48.5%が月140時間以上、つまりフルタイム相当の稼働をしており、本業として続けている層に近い姿です。副業の収入と比べるなら前者、独立後の収入を見積もるなら後者と、自分の状況に近い数字を選んでください。

フリーランス全体の今後はフリーランスは終わりなのか|2026年に起きている3つの変化と、会社員が取れる現実的な選択で整理しました。個人の稼ぎについて言えば、本業層に近い調査でも半数近くが年収400万円に届いていない以上、独立すれば自然に収入が上がるとは考えず、次に挙げる5つの要因を自分に当てはめてから判断するほうが安全です。

稼げない状態をつくる5つの要因

調査の数字と仕事の構造を合わせて、稼げない状態につながりやすい要因を5つに分けて整理します。どれか一つで決まるものではなく、いくつか重なっている人ほど抜け出すのに時間がかかります。

受注経路が公募だけになっている

前職の同僚や取引先、知人から声がかかる紹介は、フリーランスの仕事の入口として大きな比重を占めています。LiKGの調査で、紹介経由の案件獲得を挙げた人は58.5%いました。

反対に、クラウドソーシングなどの公募だけで仕事を取っている場合、同じ案件に多くの人が応募し、価格で比べられやすくなります。Demirci・Hannane・Zhuの研究は、世界規模の大手フリーランスプラットフォームに2021年7月〜2023年7月に出された138万件の求人を分析したもので、生成AIの普及後、自動化されやすい職務では案件1件に集まる入札が8.57%増えていました。公募の場では競争が強まる方向に動いています。公募が悪いのではなく、公募しか経路がないと、価格以外で選ばれる機会がなかなか生まれません。

時間で売る仕事しか持っていない

時給や稼働時間で報酬が決まる仕事は、始めやすい反面、収入の上限が稼働時間で決まります。作業を速くしても、浮いた時間に別の仕事を入れない限り売上は増えず、時間単位の請求ならむしろ減ります。株式会社Hajimariの調査(2026年6月、本業でIT案件を受けるフリーランス255名)を見ても、AIを使っている135名の63.7%が作業が速くなったと答えた一方、直近1年の月額単価が上がった人は4.7%でした。

速さが収入に結びつかない仕組みは、フリーランスの単価が上がらない理由|AIで効率化しても報酬が変わらない構造で詳しく扱っています。時間型のほかに、成果物単位や継続的な収入を生む形をどう組み合わせるかは、報酬の決まり方で副業を分けて考える|時間型・成果型・資産型が参考になります。

単価の交渉をしない

提示された金額をそのまま受け続けていれば、単価が上がるきっかけはありません。Hajimariの調査でも、31.0%の人が単価を上げる打ち手は「わからない」と回答し、10.2%がAIを理由に値下げを求められた経験を持っていました。

法律の守りにも限りがあります。フリーランス法(2024年11月1日施行)や取適法(2026年1月1日施行)は、発注側の一方的な減額や、協議に応じない代金決定などを一定の条件のもとで禁じていますが、単価の引き上げまで発注側に求めるものではありません。値上げの話は、受注者の側から条件を出して初めて始まります。

フリーランス白書2026でも、法施行後に違反を感じた28.5%の人のうち、交渉まで進んだのは27.5%にとどまりました。条件に疑問を持っても、それを口に出す人は少数です。

経費・税金・社会保険を売上から引いていない

会社員の給与は税金と社会保険料が引かれた後の金額が振り込まれますが、フリーランスは売上から自分で経費、所得税、住民税、国民健康保険、国民年金を払います。売上だけを見て会社員時代の年収と比べると、手取りの差を見誤ります。

白書2026で社会保険制度に不安があると答えた人は68.2%に上り、安心していると答えた人は6.7%にすぎません。早急な対策を求める問題の首位もインボイス制度(62.7%)です。免税事業者のまま取引を続けるか、登録して消費税を納めるかで、同じ売上でも手元に残る額は変わります。副業の段階から確定申告をしておくと経費と税の感覚がつかめるので、副業の確定申告のやり方|会社員の準備・スマホ申告・住民税の6ステップの流れで一度通してみてください。

本業の実績を仕事に変えられていない

独立する人の多くは、会社員時代の実績を元手にしています。LiKGの調査では会社員経験者が74.5%を占め、そのうち約半数は10年以上の企業勤めを経ていました。紹介経由の受注が多いことと合わせると、前職で積んだ実績や人間関係が最初の仕事の入口になっている人が多いと考えられます。

本業と関係のない分野で独立すると、この入口が使えません。実績ゼロから公募で仕事を取ることになり、1つ目の要因と重なります。

独立前に確かめられる5つの判断基準

5つの要因は、どれも会社を辞める前に確かめられます。次の表は、要因ごとに独立前に確認することと、独立を急がない方がよいサインを並べたものです。

要因 独立前に確かめること 独立を急がない方がよいサイン
受注経路 公募以外に、紹介や直接の相談で仕事が来たことがあるか 仕事の入口がクラウドソーシングだけ
報酬の形 時間型以外に、成果物単位や継続契約の仕事があるか 稼働時間を増やす以外に売上を伸ばす手段がない
単価交渉 一度でも条件を提示し、見積もりや更新時に交渉したか 提示された金額をそのまま受けている
手取りの計算 副業の確定申告をして、経費と税を引いた額を把握しているか 売上と会社員の年収を額面で比べている
実績の転用 本業の経験を説明できる形で、社外の人に提示したことがあるか 独立後の仕事が本業とつながっていない

表のうち、受注経路と報酬の形は特に重く見てください。この2つが未確認のまま独立すると、収入の上限を自分で動かす手段がほとんど残りません。紹介で仕事が来た経験があり、時間型以外の報酬も一度は受けているなら、残りの3つは独立の準備と並行して詰める余地があります。逆に、紹介の経験がなく公募でしか受けたことがないなら、まず副業のまま紹介経路を一つつくることを優先した方が安全です。

手取りの計算は、副業の規模が小さいうちは見落としやすい項目です。給与を1か所から受ける会社員は、副業の所得が年20万円を超えた年に確定申告の義務が生じます。その機会に経費と税の流れを一度通しておくと、独立後の生活費の見積もりが現実に近づきます。

稼げない段階でも副業なら成り立つ理由

ここまでの要因に当てはまっても、副業であれば大きな問題にはなりません。会社の給与が生活費を支えているため、報酬が少ない時期があっても暮らしは崩れません。白書2025によると、フリーランスの45.7%は世帯の収入の8割以上を自分一人で稼いでいます。独立すると、収入の柱がほぼ一本になる人が多いということです。副業のうちは、その柱が別にあります。

交渉の練習ができる点も副業の利点です。断られても生活に響かないので、見積もりを少し高めに出す、継続案件の更新時に条件を見直してもらう、といった試行を落ち着いて重ねられます。独立後に初めて交渉すると、断られたときの影響が大きく、提示額をそのまま受けてしまいがちです。

従業員を雇わずに個人で業務委託を受ける形なら、会社員の副業でもフリーランス法の保護対象になり得ます。取引条件を書面などで明示してもらう、発注側が従業員を使う事業者なら60日以内に支払ってもらう、といった扱いを求められる立場なので、副業の段階から契約条件を確認する習慣をつけておけば、独立後もそのまま使えます。

副業の低収入と、独立後の低収入は意味が違う

ランサーズの調査で副業系・複業系に低収入が多いのは、稼働時間が限られているためでもあります。副業での収入が少ないことは、それだけでは向き不向きの判断材料になりません。見るべきは金額よりも、紹介が来たか、単価が上がったか、継続案件があるかといった中身です。

副業で検証する順番

5つの要因を副業で確かめる順番は、仕事の入口から手取りへと進めると無理がありません。いきなり全部を揃える必要はなく、一つ確認できたら次へ進む形で十分です。

副業で確かめる順番の目安

  • 本業で成果を出した経験を書き出し、社外の人に説明できる形にする
  • 就業規則で副業や競業の扱いを確認したうえで、前職や知人など公募以外の経路から最初の1件を受ける
  • 時間型の仕事に加えて、成果物単位か継続契約の仕事を一つ持つ
  • 継続案件の更新時に、作業範囲か単価のどちらかについて条件を提示する
  • 確定申告で経費と税を引き、副業の手取りを把握する

最初の2段階でつまずく場合は、独立の前に本業の経験を整理し直す余地があります。公募経由でしか仕事が取れない状態が続くなら、扱う分野が本業から離れすぎていないかを見直してください。

3段階目以降まで進み、継続案件が複数あって、単価の交渉にも一度は手応えがあったなら、独立を具体的な選択肢として検討に入れる段階です。逆に、独立しないという判断が残っても、副業で収入源が一つ増えている状態そのものに価値があります。

次に何をするか|受注経路と報酬の形から確かめる

フリーランスで稼げない人が多いのは調査が示すとおりですが、この記事で挙げた5つの要因は、いずれも独立前に確かめられます。受注経路と報酬の形がまだ確かめられていないなら、会社員のまま副業でその2つを確かめるのが先です。すでに紹介で仕事が来ていて、時間型以外の報酬もあるなら、生活費の見積もりと辞める時期の判断に進めます。

まだ何も始めていない場合は、副業として毎月小さな売上を立てるところから入るのが現実的です。どの副業を選ぶかは、副業サービスの比較で報酬の決まり方や受注の経路ごとに比べてから決めると、5つの判断基準のうちどれを確かめやすいかも見えてきます。

この記事で参照した資料

  • ランサーズ「フリーランス実態調査 2024年」(調査期間2025年1月16〜20日)
  • プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2025」
  • プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2026」(調査期間2025年11月)
  • 株式会社LiKG「フリーランス実態調査」(2026年2月発表)
  • 株式会社Hajimari調査(2026年6月、本業でIT案件を受けるフリーランス255名)
  • Demirci・Hannane・Zhu「Who Is AI Replacing? The Impact of Generative AI on Online Freelancing Platforms」
  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法、2024年11月1日施行)、中小受託取引適正化法(取適法、2026年1月1日施行)

この記事に書いた制度や調査の内容は 2026年10月1日 に発表元の資料で確認しました。制度や数値は変わることがあるため、最新の情報は発表元で確認してください。

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