会社員が副業を始める前に確認する4つのこと|就業規則・労働時間・住民税・社会保険

会社員の副業は、いまは「原則認める」が国の示す標準です。始める前に見ておくのは、就業規則・労働時間・住民税・社会保険の4つ。ここを押さえておけば、あとから困ることはほとんどありません。

国の標準は、すでに「原則容認」に変わっています

厚生労働省のモデル就業規則は、2018年1月の改定で「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という条文を削除しました。最新の令和7年12月版では第70条第1項が「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と定めています。

会社が禁止・制限できるのは、届出の内容が次の4つに当たる場合とされています。

  • 労務の提供に支障がある場合
  • 企業秘密が漏洩する場合
  • 会社の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がある場合
  • 競業により会社の利益を害する場合

さらに、令和4年7月のガイドライン改定で、副業・兼業を認めているかどうかを自社のWebサイト等で公表することが望ましいとされました。応募先や勤務先の姿勢を、外から確かめられる会社も増えています。

実際にどのくらいの人がやっているのか

数値 出典
副業がある人 305万人/副業者比率 4.8%(正規2.5%・非正規7.2%) 総務省「令和4年就業構造基本調査」(2022年10月1日現在)。2026年8月時点で最新の公的統計
正社員の副業実施率 11.0%(過去最高) パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2025年10月28日発表)
副業の時給 平均3,617円/中央値2,083円 同上

確認しておく4つのこと

1. 就業規則

副業・兼業の条項があるか、届出制か許可制かを見ます。就業規則は事業場に備え付けて労働者が見られるようにする義務があるので、総務や人事に聞けば確認できます。

2. 労働時間の通算

副業が雇用(アルバイト・パートなど)の場合、本業と副業の労働時間は通算されます(労働基準法38条1項)。通算して法定労働時間を超えた部分については、自ら労働させた時間に応じて各社が割増賃金を支払います。

一方、業務委託・請負など労働基準法が適用されない働き方は通算の対象外です(契約名ではなく働き方の実態で判断されます)。クラウドソーシングやアフィリエイトのような形の副業は、この点で本業側の計算に影響しません。

「管理モデル」という簡便な方法があります

お互いの実労働時間をいちいち報告し合わなくても法律を守れるように、上限をあらかじめ決めておく方法がガイドラインに用意されています(令和2年9月に新設)。先に契約した会社の法定外労働時間と、後から契約した会社の労働時間の合計を、単月100時間未満・複数月平均80時間以内に収める形です。会社に相談するときの選択肢として知っておくと話が早くなります。

3. 住民税

副業が事業所得・業務に係る雑所得なら、確定申告書で普通徴収(自分で納付)を選べます。副業がアルバイトなど給与所得の場合は選べず、本業の給与と合算して天引きされます。運用は自治体で違うので、市区町村の税務課に確認してください。

4. 社会保険

副業先でも次の条件を全部満たすと、そちらでも社会保険に加入します。①従業員51人以上の会社 ②週の所定労働時間20時間以上 ③月額賃金8.8万円以上 ④学生でない ⑤2か月以内の期間雇用でない。

2か所で加入することになった場合は、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を、事実が起きてから10日以内に提出します。標準報酬月額は合算した額で決まり、保険料は各社で按分されます。なお、複数の勤務先の労働時間を合算して加入要件を判定する仕組みは社会保険にはありません(雇用保険のマルチジョブホルダー制度とは別です)。

2026年10月に条件が変わる予定です

令和7年年金制度改正法により、月額8.8万円という賃金要件は2026年10月に撤廃される予定です。撤廃後は週20時間以上で対象になります。企業規模の要件も2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上と段階的に下がり、2035年10月に撤廃される予定です。2026年8月時点ではまだ現行の条件(51人以上・月8.8万円以上)です。

万一のときの保障は、以前より厚くなっています

2020年9月から、複数の会社で働く人(複数事業労働者)が労災にあった場合、給付の計算にすべての就業先の賃金を合算するようになりました。副業先での事故でも、本業分を含めた収入をもとに給付額が決まります。

また、1つの職場だけでは労災と認められない場合でも、複数の職場の負荷を総合して評価する「複数業務要因災害」という枠組みが設けられました。本業から副業先へ移動する途中の事故は通勤災害として扱われ、移動の終点にあたる事業場の保険関係で処理されます。

始めるまでの手順

  1. 就業規則の副業・兼業の条項を読む。届出制なら様式と提出先を確認します
  2. やる副業の「形」を決める。雇用(アルバイト)か、業務委託かで、労働時間の通算と住民税の扱いが変わります
  3. 届け出る。ガイドラインは、副業の相談や申告をしたことを理由に不利益な取扱いをすることはできないとしています
  4. 収入と経費の記録を始める。年明けの申告で必要になります

あわせて読みたい

この記事で参照した資料

  • 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)第70条
  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)/同パンフレット(令和7年3月31日改定版)
  • 労働基準法38条1項/昭和23年5月14日基発第769号
  • 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
  • 厚生労働省「複数事業労働者への労災保険給付」
  • 総務省「令和4年就業構造基本調査」/パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」

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この記事に書いた制度の内容は 2026年8月22日 に、国税庁・厚生労働省・総務省など発表元の資料で確認しました。制度は改正されることがあるため、手続きの前に必ず最新の内容をご確認ください。

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