
会社員のまま業務委託で仕事を受けると、その時点で「特定受託事業者」としてフリーランス法の保護対象になります。2024年11月に施行された法律で、発注する側に守るべき義務が定められました。何が変わったのかを整理します。
この記事の目次 5項目
2024年11月1日にフリーランス法が施行されました
正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。保護される側の「特定受託事業者」は、業務委託の相手方である事業者のうち、従業員を使用しない個人、または代表者以外に役員がなく従業員も使用しない法人と定義されています。
会社員の副業でも対象になります
要件は「従業員を使用しない個人であること」です。本業で会社員として雇用されていても、副業として業務委託で仕事を受けるなら特定受託事業者に当たり得ます。この法律には下請法のような資本金の要件がないため、小規模な発注者との取引も対象になります。
発注する側に課された義務

| 分類 | 義務 |
|---|---|
| 取引条件 | 書面等による取引条件の明示。業務内容、報酬額、支払期日などを示す |
| 支払期日 | 給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に報酬を支払う |
| 禁止行為 | 受領拒否/報酬の減額/返品/買いたたき/購入・利用の強制/不当な経済上の利益の提供要請/不当な給付内容の変更・やり直し |
| 募集情報 | 募集情報を的確に表示する(虚偽・誤解を与える表示の禁止) |
| 両立配慮 | 育児・介護等と業務の両立への配慮 |
| ハラスメント | 相談対応など、必要な体制の整備 |
| 中途解除 | 継続的な業務委託を解除する場合は30日前までに予告 |
公正取引委員会は、令和7年10月までに128名の事業者に対し法22条に基づく指導を行ったと公表しています。運用指針も令和7年10月1日に改正されました。制度が実際に動いているということです。
雇用で働く場合との違い
| 雇用(アルバイト等) | 業務委託 | |
|---|---|---|
| 適用される主な法律 | 労働基準法・最低賃金法など | フリーランス法 |
| 労働時間の通算 | される | されない |
| 最低賃金 | ある | ない(報酬は交渉で決まる) |
| 労災保険 | 適用される | 原則なし(特別加入の制度あり) |
| 住民税の徴収方法 | 選べない | 普通徴収を選べる |
| 経費 | 給与所得控除 | 実際にかかった額を差し引ける |
| 報酬の支払期日 | 賃金の支払日 | 受領日から60日以内 |
契約の名前ではなく、働き方の実態で判断されます
厚生労働省のモデル就業規則の解説は、労働基準法・労働安全衛生法の潜脱を意図した形態や偽装請負は認められず、就労の実態に応じて労働基準法等の適用を受けるとしています。契約書に「業務委託」と書いてあっても、時間や場所を指定され、指揮命令を受けて働いているなら労働者と判断される場合があります。
副業としてのメリット・デメリット
| メリット | デメリット・注意したい点 |
|---|---|
|
|
業務委託で受ける前に確認すること
- 契約書または発注書があるか。業務内容・報酬額・支払期日が書面で示されているかを確認します。フリーランス法上、これは発注側の義務です
- 支払期日が受領日から60日以内か。これを超える設定は法律に反します
- 報酬の決まり方。固定なのか、成果に応じるのか。修正対応が何回まで含まれるのか
- 困ったときの相談先。「フリーランス・トラブル110番」(厚生労働省の委託事業)で無料相談ができます
業務委託で仕事を受けられるサービス
- クラウドワークス … 案件数が多いクラウドソーシング
- ランサーズ … プロジェクト形式の案件が中心
- ココナラ … 自分のスキルを商品として出品する
- Workship … 週1日から働けるフリーランス向けマッチング
- Midworks … フリーランスエンジニア向けエージェント
この記事で参照した資料
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号/e-Gov法令検索)
- 公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた取組」/「法の考え方」(令和7年10月1日改正)
- 公正取引委員会「フリーランス法に基づく指導等について」(令和7年12月10日)
- 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)解説
この記事に書いた制度の内容は 2026年8月22日 に、国税庁・厚生労働省・総務省など発表元の資料で確認しました。制度は改正されることがあるため、手続きの前に必ず最新の内容をご確認ください。




