
動画編集の見積もりは「完成動画が何分か」だけでは決まりません。同じ5分の動画でも、素材が10分なのか2時間なのか、字幕を全部入れるのか、構成から任されるのかで作業量が変わります。
まず作業範囲を決め、確認・連絡・修正を含む時間を見積もり、その条件に対して金額を出すのがこの記事の進め方です。以下は編集部が作った架空の設計例で、受注実績や相場調査ではありません。
作成:みんなの副業 編集部/2026年9月22日。テンプレートは見積もりの相談用です。実際の契約条件に合わせて変更してください。
この記事の目次 10項目
最初に確認する8項目
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 素材 | 総尺・ファイル数・カメラ数・音声の状態。素材が後から増えるか |
| 完成物 | 本数・長さの上限・縦横比・解像度・ファイル形式 |
| 構成 | 採用箇所は指定済みか。編集者が内容を選び直すか |
| 字幕 | 全発言か要点だけか。文字起こしの支給、固有名詞の確認方法 |
| 演出 | BGM・効果音・画像・図解・アニメーションの範囲 |
| 修正 | 何を含むか、何回か。確認窓口と指示の集約方法 |
| 日程 | 素材確定日・初稿・確認期限・最終納品。素材遅延時の扱い |
| 費用・権利 | 請求総額・必要な素材費・利用範囲・編集データの納品有無 |
「YouTubeっぽく」「いい感じに」は、見積もり条件としては足りません。参考動画のどの要素を再現するのかを分けて確認します。例えば「字幕の書体と配置を参考にする。図解・手描きアニメーションは含まない」と書けば、両者の想定を近づけられます。
素材を見られない段階では、条件付きで回答する
全素材の確認前に固定金額を約束すると、音声不良や複数カメラ、長い待機時間が後から見つかっても調整しにくくなります。機密上すべてを共有できない場合は、総尺一覧と代表的な短いサンプルを相談してください。
現時点では、素材合計30分以内・完成5分以内・1カメラ・音声が聞き取れることを前提とした概算です。素材確認後に金額と納期を確定します。前提を超える場合は、着手前に変更内容をご相談します。
概算の有効期限や、追加素材をいつ締め切るかも決めます。素材確認そのものが大きな作業になる案件は、確認工程の範囲と費用を先に相談します。無償で本編集まで進める必要はありません。
工数は「編集ソフトを触る時間」だけで数えない
次は、素材30分から完成5分の動画を1本作る想定の工数表です。実測ではなく計算練習用のモデルです。自分の練習素材で計測した値に差し替えて使います。
| 工程 | 仮の作業時間 | 含める作業 |
|---|---|---|
| 仕様確認・素材整理 | 0.5時間 | 依頼内容の確認、ファイルの配置 |
| 素材確認・構成 | 1時間 | 視聴、使う場面の整理 |
| カット編集 | 1.5時間 | 不要部分の整理、流れの調整 |
| 字幕 | 1.5時間 | 自動文字起こし後の修正、表示調整 |
| 音・画面の調整 | 0.75時間 | 音量、支給画像・BGMの配置 |
| 書き出し・確認 | 0.5時間 | 出力設定、完成ファイルの通し確認 |
| 連絡・修正枠 | 1.25時間 | 初稿連絡、合意範囲の修正、再確認 |
| 合計 | 7時間 | 待機だけの時間は別に記録 |
自動字幕を使っても、誤変換・固有名詞・改行・発話と表示のずれを直す時間は残ります。AIや書き出しの待機中に別作業ができるなら、人が実際に拘束される時間と経過時間を分けてください。ただし、機材が使えず他の受注に影響する時間は日程の余裕に反映します。
請求額・受取見込み・時間当たりの残額を分ける
見積金額と、手数料や実費を引いた残額は別です。計算は次の順序にします。
- 取引で請求する総額を決める。税の表示方法も明確にする。
- 利用するサービスの公式条件で販売・受注手数料を計算する。
- この案件に必要な素材費や外注費などを控除する。
- 確認・連絡・修正を含む総作業時間で割る。
例として、請求総額20,000円、取引手数料を仮に2,000円、案件専用の素材費を1,000円と置くと、費用控除後は17,000円です。7時間なら約2,429円/時間、追加修正で10時間になれば1,700円/時間。これらは税引後の手取りではなく、仮の費用と工数を置いた計算例です。手数料2,000円は特定サービスの料率を示しません。所得にかかる税・社会保険や、ここに含めていないソフト代等は別です。
利用先によって手数料の対象や税の扱いは異なります。クラウドソーシングの手数料比較と受取見込み計算機で前提を確認し、必要に応じて公式条件と照合してください。自分の見積もりを作る段階では「20,000円が相場」と読み替えないことが大切です。
「修正2回まで」だけでは範囲が決まらない
回数と変更の大きさは別です。文字の位置調整2回と、企画を変更して全編を作り直す2回は同じではありません。
- 含める修正:合意した構成内での字幕表現・音量・軽微なカット位置の調整など。
- 別途相談する変更:素材の大幅追加、採用場面の再選定、構成変更、別の縦横比、納品本数の追加など。
- 編集側の誤り:合意した仕様からの漏れや誤りは、任意の変更依頼と分けて対応する。
「1回」は、窓口担当者がまとめた指示一式を受け取って反映する単位、といった定義を相談します。追加費用は自動的に発生するとせず、内容・金額・納期の変更に合意してから着手します。
そのまま埋められる見積もり確認テンプレート
下の項目をコピーし、空欄を埋めて送ってください。「未定」の項目を残す場合は、誰がいつまでに確定するかも書きます。
件名:[案件名]編集内容・お見積もりの確認 発注者/受注者:[名称]/[名称] 依頼・合意日:[年月日] 目的・掲載先:[用途、媒体] 支給素材:[総尺、ファイル数、カメラ数] 素材の確定日:[年月日] 完成物:[本数、尺上限、縦横比、解像度、形式] 構成:[指示支給/編集者が選定する範囲] 字幕:[全文/要点、表記確認の担当] 画像・音楽:[支給/購入、利用許諾の確認担当] 含む作業:[具体的な工程] 含まない作業:[撮影、サムネ、編集データ等] 修正:[範囲、回数、指示の集約窓口] 仕様の不一致・誤りへの対応:[確認方法と対応] 初稿/確認期限/納品:[年月日]/[年月日]/[年月日] 納品場所・方法:[共有先等] 検査:[有無、行う場合は完了日] 請求総額:[円、税の表示] 追加実費:[有無、内訳、事前承認方法] 支払期日・方法:[具体的な日付、方法] 利用範囲・権利・実績公開:[双方で確認した条件] 素材や仕様が変わる場合:変更内容・費用・納期を再確認してから着手 この見積もりの有効期限:[年月日]
これは編集範囲をすり合わせるためのひな型で、すべての契約条項を網羅するものではありません。公正取引委員会は、フリーランスへの業務委託に関して、適用対象となる取引での条件明示を案内しています。対象要件や必要事項は公正取引委員会のフリーランス法特設サイトで確認してください。
予算が合わないときは、範囲を変えるか受けない
「予算が半分なので、同じ内容を半額で」では作業量は減りません。全文字幕を要点字幕にする、素材の採用箇所を依頼者が指定する、納品を1本に絞るなど、減らす工程と完成物への影響をセットで提案します。削減しても自分の時間や必要経費を賄えない場合は、受注しない判断も必要です。
権利を確認できない素材、担当者によって指示が食い違う案件、確認日程が決まらない特急案件は、価格を上げれば必ず対応できるわけではありません。まず条件が整うかを確認します。
納品後は、次回の見積もりを直す
工程ごとに「見積時間/実際の作業時間/差の理由」を残します。字幕修正が想定の2倍だったなら、次は自動字幕の待機時間ではなく修正時間を見直します。素材の後出しが原因なら、単価だけでなく素材確定日と追加ルールを改善します。
初めての切り抜き制作は切り抜き動画の始め方で練習から確認できます。学習費用をかける前に、手持ちの素材で1本作り、どの工程で時間がかかるかを把握してから動画編集スクールの比較を読むと、必要な支援を選びやすくなります。
出典・制作方法
制度に関する確認先:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」(2026年9月22日確認)。工数表・金額例・確認テンプレートは編集部による設計例です。独自の受注実績・収入調査・効果測定としては掲載していません。




