
公務員の兼業は「全面禁止」ではありません。国家公務員法・地方公務員法が定めているのは、承認や許可を受けずに行うことの制限です。何が承認・許可の対象で、どこまで認められているのかを条文の側から整理します。
この記事の目次 6項目
根拠になっている条文

| 条文 | 内容 | |
|---|---|---|
| 国家公務員 | 国家公務員法103条 | 営利企業の役員・顧問等の兼職、自ら営利企業を営むことの制限。所轄庁の長の申出により人事院の承認を得れば適用されない |
| 国家公務員 | 国家公務員法104条 | 報酬を得て、営利企業以外の事業・事務に従事する場合は内閣総理大臣および所轄庁の長の許可が必要 |
| 地方公務員 | 地方公務員法38条 | 営利企業等の役員兼職、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業・事務に従事することは任命権者の許可が必要 |
いずれも「禁止」ではなく「承認・許可を要する」という組み立てです。なお国家公務員の非常勤職員は、103条・104条の兼業規制の適用が除外されています(別に内規がある場合はそちらに従います)。
承認を受けて行われている例(国家公務員)
- 農業・牧畜・酪農・果樹栽培・養鶏など
- 自己所有の不動産の賃貸
- 太陽光電気の販売
- 遺贈や相続による家業の承継
- 研究職員が、研究成果を活用する企業の役員となる場合
不動産賃貸は「規模」で線が引かれています
人事院・内閣人事局のQ&Aは、独立家屋5棟以上/アパート10室以上/土地の契約件数10件以上などに当たる場合を「自営」として、承認が必要になる目安としています。不動産と駐車場の双方を貸す場合は賃貸料収入を合算して扱います。相続で実家を貸すことになった、といったケースはこの基準で判断されます。
許可を受けて行われている例(報酬がある場合)
社会福祉法人・NPO法人・自治会や町内会といった非営利団体での活動は、報酬を受けるなら104条の許可の対象です。いわゆる地域貢献活動がここに入ります。ほかに大学教員との兼業、自己啓発等休業・配偶者同行休業中の兼業などがあります。
非営利団体での兼業について示されている主な許可の要件は次のとおりです。
| 観点 | 要件 |
|---|---|
| 利害関係 | 在職している機関と兼業先に利害関係がないこと |
| 信用 | 団体の目的・事業が公務の信用を傷つけるおそれがないこと |
| 立場 | 経営上の責任者とならないこと |
| 報酬 | 社会通念上相当と認められる範囲内であること |
| 時間 | 勤務時間と重複しないこと。原則として週8時間以下・1か月30時間以下・平日3時間以下 |
講演等の報酬については、国家公務員倫理規程9条2項に基づいて各府省が定める基準を超えないこととされています。
地方公務員は、国より広く認められる余地があります
総務省は令和7年6月11日の通知(総行公第72号)で、国家公務員では原則認められない「営利企業の従業員との兼業」も、地方公務員では基本的な原則を満たせば各任命権者の判断で認めることが可能だと明示しました。基本的原則とは、能率の低下をきたすおそれがないこと、利害関係や職務の公正を妨げるおそれがないこと、品位を損ねるおそれがないことです。
整備も進んでいます。総務省の令和6年度調査によると、兼業許可基準を設定している自治体は1,152団体(全体の64%)で、令和元年度の調査から25ポイント増えました。許可件数は41,587件、そのうち社会貢献活動に関する許可は13,498件で、前回調査から約2,000件増えています。
副業としてのメリット・デメリット
| メリット | デメリット・注意したい点 |
|---|---|
|
|
動く前に確認すること
- 自分の任命権者の兼業許可基準があるか。人事担当課に問い合わせれば、基準の有無と様式がわかります
- 報酬を受けるかどうか。報酬の有無で、必要になる条文(103条/104条、地公法38条)と手続きが変わります
- 不動産や農業なら「規模」。独立家屋5棟・アパート10室・土地10件といった目安に当てはまるかを先に数えます
- 勤務時間と重ならないか。非営利団体での兼業は時間の上限が示されています
この記事は制度の概要をまとめたものです
実際に認められるかどうかは、所属する機関・自治体の基準と個別の事情で判断されます。当サイトでは可否の判断はできません。検討する場合は、必ず所属先の人事担当課に事前に相談してください。
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この記事で参照した資料
- 国家公務員法103条・104条/地方公務員法38条(e-Gov法令検索)
- 内閣人事局・人事院「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」(令和6年6月)
- 内閣官房内閣人事局「国家公務員の兼業について(概要)」
- 総務省「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について」(総行公第72号/令和7年6月11日)
- 総務省「地方公務員の働き方に関する分科会 報告書」(令和7年6月)
この記事に書いた制度の内容は 2026年8月22日 に、国税庁・厚生労働省・総務省など発表元の資料で確認しました。制度は改正されることがあるため、手続きの前に必ず最新の内容をご確認ください。




