
ダブルワーク、つまり2か所で雇われて働く形は、業務委託の副業とは手続きがはっきり違います。労働時間が通算され、社会保険は自分で届け出が必要で、労災は合算されます。始める前に押さえる4点をまとめます。
この記事の目次 7項目
ダブルワークと業務委託の副業は、扱いが別です
| ダブルワーク(雇用×雇用) | 業務委託の副業 | |
|---|---|---|
| 労働時間の通算 | される(労働基準法38条1項) | されない |
| 最低賃金 | 適用される | 適用されない |
| 労災保険 | 適用される | 原則適用されない(特別加入制度あり) |
| 住民税の徴収方法 | 選べない(本業と合算して天引き) | 普通徴収を選べる |
| 社会保険 | 要件を満たせば2か所とも加入 | 加入しない |
| 受けられる保護 | 労働基準法など | フリーランス法(2024年11月施行) |
1. 労働時間は通算されます

本業と副業がどちらも雇用なら、労働時間は足して数えます。通算して法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える部分については、自ら労働させた時間に応じて、それぞれの会社が割増賃金を払います。通算の順序は、まず契約を結んだ先後の順に所定労働時間を足し、次に実際に発生した順で所定外労働時間を足していきます。
単月100時間未満・複数月平均80時間以内という上限も通算の対象です。一方、36協定の限度時間や、休憩・休日・年次有給休暇は通算されません。
お互いの労働時間を毎回報告しなくてもよい方法があります
ガイドラインの「管理モデル」は、先に契約した会社の法定外労働時間と、後から契約した会社の労働時間の合計を、単月100時間未満・複数月平均80時間以内に収まる範囲であらかじめ決めておく方法です。実労働時間を相互に把握しなくても法律を守れます。会社に相談するときの選択肢として覚えておくと話が早くなります。
2. 社会保険は、自分で届け出ます
副業先でも次の条件を全部満たすと、そちらでも健康保険・厚生年金に加入します。
- 従業員(厚生年金の被保険者数)が51人以上の会社であること
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
- 学生でないこと
- 2か月以内の期間を定めて雇用される者等でないこと
2か所で加入することになったら、本人が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を、事実が起きてから10日以内に提出します。標準報酬月額は2か所の報酬を合算した額で決まり、保険料は各社の報酬額で按分して各社が納めます。
労働時間を合算して加入要件を判定する仕組みはありません
社会保険は各事業所ごとに要件を判定します。2か所を足して週20時間を超えても、どちらの事業所でも単独で要件を満たさなければ加入対象になりません。合算して判定するのは、次に述べる雇用保険のマルチジョブホルダー制度(65歳以上)だけです。
なお、月額8.8万円という賃金要件は「法の公布(2025年6月)から3年以内に撤廃」と定められていますが、具体的な時期は政令待ちで2026年9月時点では未撤廃です。
3. 雇用保険は原則1か所だけ
雇用保険は、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている会社1か所で加入するのが原則です。例外がマルチジョブホルダー制度で、65歳以上の人が、1つの事業所で週5時間以上20時間未満、2つ合計で週20時間以上、それぞれ31日以上の雇用見込みという条件を満たす場合に、本人がハローワークに申し出た日から被保険者になれます。
2028年10月1日からは、雇用保険全体の週所定労働時間の要件が20時間以上から10時間以上に下がる予定で、この制度の合算基準も連動して変わります。
4. 労災は合算されます
2020年9月から、複数の会社で働く人が労災にあった場合、給付基礎日額はすべての就業先の賃金を合算して計算されます。副業先での事故でも、本業の収入を含めた水準で給付が決まります。
また、1つの職場だけでは認定できない場合でも複数の職場の負荷を総合評価する「複数業務要因災害」という枠組みがあります。本業から副業先へ移動する途中の事故は通勤災害として扱われ、移動の終点にあたる事業場の保険関係で処理されます。
副業としてのメリット・デメリット
| メリット | デメリット・注意したい点 |
|---|---|
|
|
掛け持ちしやすい仕事を探すなら
- シフトワークス … 働きたい時間を指定して仕事を探せる
- プチジョブ … 面接なしで1日単位から働ける
- マッハバイト … アルバイト求人サイト。採用が決まると祝い金がある
- LINEバイト … LINEから応募できるアルバイト求人
この記事で参照した資料
- 労働基準法38条1項/昭和23年5月14日基発第769号
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
- 厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度について」/「複数事業労働者への労災保険給付」
この記事に書いた制度の内容は 2026年8月22日 に、国税庁・厚生労働省・総務省など発表元の資料で確認しました。制度は改正されることがあるため、手続きの前に必ず最新の内容をご確認ください。




